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02:入学式
真新しくて初々しい制服の子達なんて他の普通の学校にはたっぷりいるだろうに、この学園ではそうではなかった。
少数人数制というか、そもそも卒業するための明確な基準がよくわからないので新入生が入る余地がほぼないとも言う。
つまり新入生は特に最近はものすごく珍しく、そしてそれに伴う入学式なんかも随分ご無沙汰であった。
つまり新入部員も何もないわけで、今日も学園の生徒は各々、代わり映えのしない日常を送っていた。あるお宅に届けられた、ひとつの箱を除いては。
「兄さん宛てに荷物が来てるぞ」
ドイツの大きな体に抱えられれば小さくみえるその箱は意外と大きく、プロイセンは身に覚えのないそれに間抜けな声を上げた。
送り主は連名で、いつもの三人の名が書いてある。大きさの割には軽いその箱の端には、日本製を示す単語も印字されていた。
なんだよあいつら、俺様にプレゼントなんて…内心喜びに泣きそうになりながらも、プロイセンはなんでもないふりをして早速その箱を開き、…
「…それは」
「……」
涙目のまま中身を床へと叩き付けた。
黒い光沢をもったそれは今はとても懐かしい…小等部の時の指定の鞄だった。
『入学祝:おめでとう、遅くなって悪いな!フランスより愛をこめて
絶対似合うわ!着けて写真撮って送ってな!スペイン
新学期に間に合ったかな?大事にしてね、より 』
「…馬鹿にしてんのかあいつらぁぁあ!!!」
プロイセンは中に入っていた手紙を読み上げたあと、勢いよく二つに裂こうとして…思い留まった。なんとも残念なことに、プロイセンにとってはこんな手紙でも貴重な友人からの貴重な手紙で、鍵付きの引き出しに保管すべき大切なもの。授業中の他愛もないやりとりを記したノートの切れ端すらしまってあるのだから、プレゼントつきの送り状が保管の対象にならないはずがない。
内容はとても癪に障るものだったが、プロイセンはひとつ舌打ちをして手紙を封筒に戻した。
「シーくんのランドセルは!?まだ届いてないですよくそ眉毛!」
不満たらたらでブーイングするシーランドをたしなめるとイギリスは困惑顔。
「俺は買ってないぞ、お前らが贈るっていうから…」
「ちゃんとスペインに頼んだんだけど…へんだなぁ…そろそろ「宅急便でーす!」
玄関先から聞こえる声にソファーから飛び出すシーランド。
大きな箱に歓声をあげて、イギリスがその箱を受け取る。中身にしては重いその箱に少しの違和感。
「来たですよーさっさとよこすです!」
イギリスの腕から引ったくるように箱を奪ったシーランドが、その場でそれを早速開封していく。メモが一枚、はらはらと床に落ちた。
『前借りとったやつ返すわ! スペイン』
…箱の中にぎっしり詰まったプロイセン私物のAV(SMもの)に場が凍り付くのは、ほんの数秒後に差し迫っていた。
(ぶはっ)
(ぶ)
(ふひっ、ぎ、ギルなっ、ど、どしたの?)
(送ったのはテメェらだろうがよ!)
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