03:春

「ぐしゅっ!」
目の前に、赤い目を更に真っ赤にさせたギルがいる。いわゆる花粉症がついに彼を蝕んだのである。
去年までは「花粉症は甘え!精々苦しめはははは!」とか勝ち誇りまくっていたのが今年はこの有様だよ!

「んでデメェはぴんびんじでんだよ…」

プロイセンが鼻を啜り、ティッシュをひっつかみながら睨み付ける先にはひとりの少女。去年までは毎年涙目で症状に苦しんでいた彼女が、うつせば治るとでも言うように今はけろりとしている。

「菊さんに相談したら、早いうちから予防をするといいって言うから、…さすがメイドインジャパンねっ!」
「ぢくじょー…」

クラス中からと言わず目に入った生徒からティッシュを巻き上げ、席の側に寄せたゴミ箱を丸めたティッシュで山盛りにして。
今年は特に花粉がひどいらしいとニュースが告げていた。よりによって今年、発症して、なんの対策もなしにピークを迎えるとは。

「ギル…心底不憫だよね」
「不憫って言うなよ!」

立ち上がり少女に掴みかかろうとするもゴミ箱に足を突っ込んで盛大に転び、机にぶつかったかと思えば机はプロイセンの上に倒れ、更に置いてあった辞書やら筆箱やらが次々と降り注ぐ。
最後にぽこんと消しゴムが頭を跳ね、プロイセンは涙目でやけくそに笑った。







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