06:掃除

掃除の時間はゲルマンどもがこうるさい。
窓枠をつーっとやって「埃が残っていますよ」とかいう姑じみた貴族に、潔癖症かってぐらいなムキムキ。

ちなみに同じゲルマン系でもプロイセンは通常運行。スペインが放った雑巾球を箒でフルスイング。中学生か。むしろ小学生か。と思ったけどプロイセンは小二病だからしかたなかった。もちろんハンガリーさんが見逃してくれるはずもなく、二人ともハンガリーさん私物のフライパンでやられていた。特にプロイセンは念入りに。

そしてにっこり笑ってアメリカに「この生ゴミ焼却炉に捨ててきてくれる?」とか、まだ生きてますって。こらそこ嬉々として運ばない!

ちなみに私は黒板係。黒板拭いて黒板の下の粉の溜まる部分をきれいにして黒板消しをばふばふやる係。机運ぶ必要も(アメリカはめんどうがって一気に二三個運んでる)腰曲げて掃く必要も(あの箒なんであんな微妙な長さなんだか)、まして雑巾がけする必要もない楽なお仕事です。
黒板消しぼふぼふやるのは風向きを考えないと自分が粉まみれになるから、ベランダから両腕をつきだして打ちつける。風に乗って飛んでく粉の固まりは突然の風にあおられて、丁度ベランダに出てきたプロイセンに直撃!

「ぶわっ!?」
「わーごめん…ってなんだプーか。」
「てめぇぇ…!」

もろに吸い込んでしまったらしくゴホゴホやるプロイセンにさすがに申し訳なくなって歩み寄ると、彼の短い髪にカラフルな粉がまんべんなく着いていた。色素が薄いから、赤とか青とかが目立つな。 謝罪まじりにぱしぱしっと髪を叩いてやれば…まあ粗方は取れた。

「ハゲたらどーしてくれんだよ!」
「ハゲないっつの」

これが元でハゲるようならこいつの毛根が弱すぎるだけのことだ。
育毛剤くらいなら買ってやらんこともない。お小遣いの範囲内でだけど。

「ハゲるとしたらまずドイツでしょ!真面目で繊細なのからハゲてくらしいし」
「なら俺様は一番最初にハゲるな!」
「いやハゲたいならそれでいいけど」
「う、…嵌めやがったな」

「ごぉらこのワイン野郎!!」

騒がしくなったから窓枠越しに教室を覗きこむと、またイギリスとフランスが…っていうかイギリスがフランスに喧嘩ふっかけてた。お互いの眉毛と髭を引っこ抜くとかむしりとるとか、ぎゃんぎゃん騒いでる…掃除中なのに。
ふと嫌な予感が走ってプロイセンのほうを見ると、プロイセンもひきつった表情でこちらを見ていた。一瞬顔を見合わせたあと、私たちは素知らぬ顔で掃除を再開させた。
ドイツの怒号はその直後に炸裂し、彼の怒りはフランスとイギリスはもちろん止めなかった教室内のクラスメイトにも波及したが、珍しくベランダで真面目に掃除をしていた兄と黒板係の少女には向けられなかったという。


(ヴェストはハゲても俺の可愛い弟だけどな!)
(否定はしないけどムキムキっていう形容を忘れてるわよ)





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