「アレルヤ、お酒の匂いがする。」
休憩室で僕を見つけてすぐにダイブしてきたは、長いキスの後にそういってしかめっつらになった。
飲酒だなんて、さっきほんの少しスメラギさんに貰った程度なんだけど。それでもわかるものなのかな?それほどアルコールが嫌いって事かもしれない。
(舌なんか絡めるからだ、バーカ)
…だ、だまってて、ハレルヤ。
「はお酒好きじゃないもんね。」
スメラギさんにあまり寄り付かないし。と苦笑しながらいうと、彼女は、お酒のなにが良いかわからない。と拗ねた。
それは、つい先程飲酒を経験した僕と同じ意見。まだ苦いばかりで、美味しいとは思えない。僕もそうだよ、というと、
「飲んできたくせに。」…やっぱり拗ねてる。
「せっかくだからさ。お試しだよ、。僕も苦いって思ったし、ね。」
「うん、苦かった。アレルヤの味がなくなっちゃうからもうダメだよ!」
飲酒は断固反対…らしい。
(…味ってなんだよ。なにかつっこめよお前)
…とはいえ、
(スルーかァ!?)
彼女がお酒を飲めるようになるのはもう少しだけ先の話。
僕より少しだけ遅く産まれたにはまだ訪れていない成人はなんとなく、僕と彼女との間に低い段差を作っている気がした。それは今までイコールだったことで、初めて感じられる程度のちょっとした差だ。
は僕の胸に手の平をつき、その反動でソファベンチの方へ漂っていった。
彼女は基本的に無重力の空間が好きで、余程のことがないかぎりのいる空間では重力装置が作動していない。
浮かせてあった飲み物の容器を押し、飲み口から出た球状の水分をぱくりとしてから彼女はソファ付近を漂った。
「重力レベル2、オン」
ゆっくりと軽い重力がかかっていく部屋で、少女は眠りについた姫君が騎士に降ろされるかのように柔らかにソファに降りていった。
「でもさ、ハレルヤはお酒嫌いじゃなさそう。」
イメージだけど。とも付け加える。
けどね、ハレルヤだってお酒飲むのは初めてだよ。……ああ…そうなんだ。
「ハレルヤ、何て?」
口に出てしまっていたみたいで、が聞き返してきた。その笑顔にはハレルヤの言葉への興味以外にはなくて、いつもこの純粋な視線に僕はほっとさせられるんだ。
「お前らには早いかもな、だってさ。」
「ひゅう、ハレルヤおっとなー!」
可笑しそうにけらけら笑う。彼女は僕らを、双子のように扱うし、双子のようには扱わない。
ハレルヤにも話を振ってくるのはが初めてだね。
(酔狂な奴だなァ)
…嬉しいくせに。
(あ?)
なんでもないよ、ハレルヤ。
「ちっ、うっせーんだよアレルヤ、」
「あ、ハレルヤだ」
突如鮮明になる少女の像に、露わになった金の瞳が動揺する。
覗き込む少女の薄紅の瞳と視線を交えると、瞬間湯沸かしのようにカッと右頬が赤くなった。
「か、勝手に変えるなアレルヤァァ!!
(やだなぁ、サービスじゃないか)…ふざけやがって!」
「聞くまでもなく元気だってわかった。さすがハレルヤ!」
ぱちぱちと拍手をするに他意はないし、それはハレルヤに体を譲って満足そうなアレルヤにも言えることだ。馬鹿じゃねぇんだが、どうしてこうこいつらは…。
そこで俺様は名案を思い付いた。
(何…する気だい?)
いいから黙って見てろよアレルヤ。俺をコケにしたお前が悪ィんだからな!
俺はソファに座っていたの両手首を掴み、上半身をソファへ押しつけた。
不意打ちじゃなけりゃ、俺はこういうのは平気なんだよ!上の服をずり上げれば、白の下着とそれに包まれた柔らかそうな肌が露出する。
さすがに、頭の中にひっこんだ馬鹿も動揺したみたいだ。…俺も少し動揺してるが。
(ちょ、ハレルヤ!何やってるんだ!)
「何やってるんだって言われてもなぁ?これからやるとこだろ。なァ?」
「あえて言うなら服を脱がしてるところ?」
この場で脱がされている当人こそが、一番平常心を保ってる。いつものような種類の視線で俺を見上げてくる。女って…こういうものなのか?
(と…とにかく、交代して!ハレルヤ!)
「…はいはい、わかりましたよ。」
意外にあっさりと体を明け渡してくれるハレルヤ。ちょっと珍しい。
体の制動権が戻るときの一瞬のブランク。
そこで僕はあろうことかの…む、胸の谷間に突っ伏してしまった!
「わぁあっ、ご、ごめんっ!ごめん!」
僕はの体の両脇に手をついて、謝り倒す。
はやっぱり特に気にしてないようで、埋まるほどなくてごめんねぇとか言ってる。
…じ、十分過ぎるから謝る必要はないんだけど…
顔がたぶん、耳どころか首筋まで赤くなってるのが自分でも分かる。
……とっても、柔らか、かった…。
「こんな時間に何をして」
扉がシャッと開いて、凛とした声が途切れる。
(一番大変なやつに見つかっちまったなァ、アレルヤ?)ハレルヤは僕の奥底でニヤニヤしている。…確信犯だ。悪意が見えるようだよ…。
「何をしている!!」
明らかにさっきより語気が荒くなってる。当たり前だ、こんな…どうするつもりだよハレルヤ…!
(さぁな?)
ティエリアは吊り目をもっとつりあげて、っていうか目の色金色だったっけ?…こっちにむかってくる。
「やはり君はマイスターにふさわしくない!」
ばりっと音がするぐらいにの上から僕をどかして、の格好を見て、般若のような形相で振り返ったティエリア。万死に値する!とかなんとか、そういう雰囲気。
…終わったな、僕。
「なぁに騒いでんだ?」
もっと悪いことに開きっぱなしの扉からロックオンも顔を覗かせて、その後には刹那までくっついてきた。
「ち、違うんだ皆、これはっ」
「そう、お酒に酔ったアレルヤが私を」
「万死に値する!」
くわっと目を見開いて叫ぶティエリアに最悪なところで遮られ、服のはだけたの姿を見、苦笑するロックオンの目だけが微笑みを止める。
刹那の視線が僕に固定されて痛いくらいだ。
「…アレルヤ」
「…。」
「だ、だから違うんだって、そのっ、」
「見苦しいぞ、アレルヤ・ハプティズム。」
「少し話がある。いいな?」
「…俺もだ。」
「フン、…部屋を移した方が良いな。」
「…はい…」
必要以上ににっこりしたロックオンと無表情でびしばし視線をぶつけてくる刹那、敵意丸だしのティエリアに連行されて、僕は、どうなるんだろう…ハレルヤ…。(…)
…アレルヤたちが連れて行かれてしまった。
一連の騒動をぽんやり見ていたはとりあえずこの部屋は少し寒いと思った。
のでくずれた服を着直し、暖かいココアでも飲もうかな、それともシャワーを浴びてもう寝てしまおうかと考えて、誕生日を迎えたばかりの彼らにプレゼントをまだ渡していないことに気付いた。
待っていたら帰ってくるかななんて思いながらココアをいれて、空調を調節して、いつの間にかソファで微睡んでしまっていた。
一日は始まったばかりで、これから寝て起きても、まだまだ彼らの誕生日は続いているだろう。
私の一番いとしい人に一番に渡したかったけれどしかたない。今はとにかく眠いのである。襲いくる睡魔に誘われるがままにに、少女は眠りに落ちていった。
…私が起きたらすぐに彼に言おう
生まれてきてくれてありがとう!!
HAPPY BIRTHDAY!!
彼の箱には金のリボン、
彼の箱には銀のリボン。
ほら、なんてわかりやすい!
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…Ashreyは祝う気があるのかと問い詰めたい。
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