●囚われのお姫様
美しい孫呉のお姫様は、山賊たちの下卑た視線を浴びてそこにおりました。
「さすがは一国の姫様ってだけある」
「とんでもねえ上玉だ」
「おかしらァ、どうせだし一発くらいやっちまっても…」
賊の下っ端のにやけた顔が、凍りつきます。
この山賊のお頭は、『孫呉』がとんでもなく嫌いだったのです。
下っ端が勝手に取ってきた獲物に、山賊頭はご立腹でした。
「俺は呉が嫌いだと、そういったはずだぜ」
「だ、だからさぁ、おかしら、この女越しにその恨みを晴らしてやりゃぁ…」
「んなことしてみろ。逆上した呉のやつらに俺たちゃ皆殺しだ。」
ギロリ、睨む鋭い眼光に、山賊たちは怯みます。
もともと、この頭はあまり暴虐なことは好みませんでした。
以前のお頭を切り殺したくらいで、それからは山賊行為の一切を行っていないのです。
お姫様がそれを知っているのは、見張りの山賊がそう愚痴愚痴とつぶやくのを聞いていたからでした。
「あんたは無傷で返す。だから文句言うんじゃねえぞ」
粗末な食事と共にやってきた頭の言葉に、お姫様はようやっと瞳を開き、
連れてこられてから初めて、まっすぐに人を見つめました。
「あなたは悪人ではないようですね」
「山賊の頭が、悪人でないはずあるか。」
「いいえ、」
お姫様は少しだけ、口元を緩めました。
「あなたは義の方。その地位にいるのは、弱き民を守るため。…違いますか?」
頭はハッと嘲る笑いを浮かべ、面倒そうにいいました。
「だから、呉は嫌いなんだよ」
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