「アンニョンハセヨ!兄を迎えにきました!」

ぴょこんと扉の端から顔を覗かせた少女は、室内の様子を見て笑顔のままぴしりと固まった。天使がいる。二重の意味で。

「?…ああ、韓国の妹か。」

妙な格好をして三角座りしているイギリス、そしてチョゴリを着た幼児。少女はくるくると脳みそを回転させて一つの結論に至り、半泣きで2人に近づいていった。

「気づかなくてごめんなさい!これからは私も協力する…!」
「はぁ?何に」
「こんなに大きくなってたなんて…水臭いわアーサー!」

小さな幼児を抱き上げて、少女は今までに見せたことがないような笑顔で言った。

「で、いつ産んだの?私たちの子ども!」
「ちげぇよ馬鹿ぁ!!!」




「わかった、これはヨンス兄で、私たちの子どもじゃない。」
たんこぶを頭にくっつけ、アーサーの前に正座した少女の名はは神妙な面持ちでアーサーの詳しい説明を上のようにまとめ、ソファですやすやと眠るヨンスを見やる。その様子にアーサーはほっと胸を撫で下ろした。

「ああ、分かってくれたか」
「イェ!(うん!)」
「ん、いい返事だ。」
「でも私をがっかりさせた分の謝罪と賠償を要きゅ」
「一銭たりとも払わねぇからな」
「イェ…」
「ていうか第一、俺たち初対面だろ」
「??アーサーとは以前日本で、」
「そうそこ!今の俺はアーサーじゃない!ブリタニアエンジェルだ!」
「ぶ、ぶりたに…?」

立ち上がって高笑いするアーサー(もちろん衣装は天使風のままである)をきょとんと見上げ、はその姿を改めて視界に収めた。頭には天使の輪っか、背には羽、白い布を巻いて、星形のステッキ、…晒された白く眩しい生足、あらわになった腕から肩、そして胸元を凝視するの瞳に、ぎらりとした光が走った。

「ごちになりますぅぅうう!!!」
「うぉあ!!??」

ごつん、と床に打ち付けた頭が痛い。背中の下に敷いてしまった羽や絨毯がクッションになってはまだましではあるものの、アーサーの視界には星が散った。そして彼の視界を占める、頬を赤らめとろんと蕩けた表情の娘。彼女が、たったいま飛びかかるようにしてアーサーを押し倒した当人である。
まことに遺憾ながら生来持ち合わせている彼のちょっぴり多めな欲望が、その妖艶さに次の展開を勝手に予想して期待した。…所詮は女一人、力づくでどかすことだってもちろんできるし、さっきみたいに殴りとばしたっていい。(ヨーロッパ産の変態にはこの対処法でいいん、だが)…それでも彼の思考は空回りし、身体は硬直するだけだった。息を乱した女が、男を押し倒してすることなんてひとつしかないのだから!

「アーサー、…」
呼称が違うがもうそれは彼にとってどうでも良かった。彼女の兄と同じで、彼女自身も顔立ちは整っている。発育も悪くないし、東洋人特有のミステリアスな彩りも魅力的。一発だけなら誤射です!ヨンスの無駄に爽やかな笑顔がアーサーの脳裏をよぎった。
「ん、…?」
先を促すようなアーサーの声に、はさらっと言い放った

「おっぱいさわらせて!!」
「そうじゃねぇだろばかぁああ!!!!」
海賊時代にならした黄金の右手が唸る。ちなみにアーサーとしては心から認めたくないが相手は一応生物学上女であるので本気は出していない。こんな格好をしていても中身は最低限英国紳士ではあるようだ。

「痛っ殴られた!殴ったね兄さんにも殴られたことないのに!」
「うるさい馬鹿っ!なにがおっぱいだ女が下品なこと言うな!」
「言い方か!言い方が悪いんですか!じゃあ乳を揉ませろアーサー・カークランド!!」
「尚悪いわ少しは自重しろ!!」

全力で胸を揉みにかかると全力で阻止するアーサー、何故か力が拮抗していることにアーサーの額を冷や汗が流れる。やっぱり身体を鍛えよう。とひっそり誓いながら、込めていた腕の力をさっと抜いた。
「!!」
全力どころか全体重をかけていたは当然バランスを崩し、そのままアーサーの腕の中へ倒れ込む。

「ふはははは捕まえたぞこのセクハラ女が!」
そのままがっちりと両腕でホールドし、身動きが取れないようにすると、アーサーは高らかに笑い声を上げた。
勝った!!と思った次の瞬間、下半身に違和感が走る。なで回すような、いや、確実に、なで回されている尻。しかも布の上からじゃなく直接、である。

「アーサーの起源はヨンス兄っ!!え、いやちょっと待ってこれってまさかはいてな」
「やめろよせ本気でおまっ、う、うわぁぁぁぁあああああ!!!」





ぐっすり眠って身体の大きさも元に戻ったヨンスが、半裸のアーサーと妹を見て転げ回りながら謝罪と賠償を要求するのは、それから数分後のことである。



ブリタニアエンジェルの受難



(アイゴォォォォォオ妹の純潔が奪われたんだぜぇええええ!!)
(ごちになりました!!)
(もう嫌だこの兄妹)







比奈さま のリクエストでヨンス妹ヒロインギャグ甘アーサーお相手でした。
リクエストありがとうございました!



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