●たとえるならば木漏れ日のような


「よう」
彼女と会うのはずいぶんと久し振りのような気がした。いや、久しぶりなのだ。
特に彼女にとっては。

「ニール、」
掠れた声、いとしい響き。変わらぬ愛らしい笑顔。

「しばらく見ないうちにずいぶん、綺麗になったな。」
「あら、皮肉かしら?」
「本音だよ」
彼女の頬にキスを落とせば、唇から笑みを零す。
「良い女になった。」
「ありがとう」

彼女は笑んで、それから思い出したように悪戯っぽく言った。
こういうところは、いや、こういうところも変わらない。
俺の愛しい

「もう私のほうが年上なんだから。子ども扱いしないでよね?」
「いいや」

刻み込まれた皴、色の落ちた髪、曲がった腰、けれど、童女のような瞳。
ほほ笑む老女に、あの時のままの俺は微笑んだ。

「いつまでたってもお前は、変わらないよ。」
「ありがとう」

老女はそっと、ベッドの傍らに寄る子供たちに視線を移した。
俺の思い出からそっくり抜け出してきたような顔立ちが、並ぶ。
壮年の女性が、老女の手を離れがたげに握っていた。

「エイミー、お別れよ」
「お母さん」
「おばあさま」
「あら、ニール、悲しい顔をしないでちょうだい。
 おじいさまがね、お迎えにきて下すったのですから。」

そういって、何もない空間を見て、母が至極幸せそうに笑うものだから。
「それじゃあ、…しかたないわね」
エイミー、と呼ばれた女性は涙ながらに、けれど、微笑んだ。



「行きましょう、か?」
彼女は立ち上がって、俺はその手を取った。
後に残るのは泣き伏せるひと組の夫婦と、かわいらしい俺の孫たちと、
幸せそうにほほ笑む老女の亡骸だけ。

「みんな、幸せにね」
「お前もだろ?」
少女はぎゅうと俺の手を握って、暖かい光のほうへと歩き出した。



やっと会えたね、もう、ずっと一緒だよ







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