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かつて彼の帝国は七つの海を支配しました。
太平洋と大西洋の南北、インド洋、北極海と南極海の七つの海を。
けれども、
全ての海は、一つの大きな「海」でした。
彼女はいつから存在するのだろう?
そのことを、聞いてみたことがある。
物心がついたときには、否、おそらく物心がつく前から、その女は傍にいた。
時には厳しく、けれど優しく、両親のいない国である自分の、まるで母であるかのように彼女は存在した。
彼女の腕に抱かれて、彼女の腕に守られて、遠くの方で大きな国が何度も何度も、諍いを繰り返すのを眺めていた。
さあ、いつからだろうね
誰も数えていないからわからない、と彼女は言った
金の髪の男がやってきた
黒の髪の男がやってきた
この地の王だと彼は言った。七つの王国を彼らは作った。
隣の国の王だと彼は言った。「母の向こう」の国であると。
彼女は俺を守ってくれた。
俺を攻めるためには、船が必要だった。
船の必要がない大陸での戦争は、簡単にできて、だからこそ苛烈なものだった。
あらわれては消えてゆく国家。
俺は消えることなく生きた。
俺はただ強い船を造って、
その船に乗って進むだけで良かった。
ゆく路は彼女が示してくれた。
彼女は私を守ってくれた。
私のすぐ傍までやってきた恐ろしいものたちを、
私を支配しようとやってきたそのものたちを、
彼女はその手で打ち払った。
温かなあの手が、
優しいあの手が、
私の敵を二度、冷たく打ち払った。
彼女は俺を守り、
そして私が彼女の腕から抜け出すのを決して許さなかった。
そしていつしか彼女よりも大きくなって
けれどいつまでも彼女に追いつけずにいた。
彼女は人の形をした俺に名前をくれた。
「アーサー・カークランド」
彼女は人の形をした私に名前をくれた
「本田菊」
そして彼女の名前を、俺はと名付けた。
広く深く蒼く碧い彼女の人としての形に。
そうして彼女はになった。
いつから彼女が存在しているのか、俺にはわからないが、
今日は私の誕生日ね、とはその時とても嬉しそうに微笑んだ。
Marine's Day
(では私は貴女にひとつの日を捧げます。海に感謝する一日を。)
いわゆる「海の日」って日本にしかないらしい。
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