昼下がりのプトレマイオス。
生理的に緊張の和らぐ時間帯に、ソレスタルビーイングのクルーたちも多少の平穏を享受しているときだった。 ロックオンは目的地へと続く廊下の様子に瞼を広げたあと、ふっと微笑みを浮かべてバーを握り直した。
「大丈夫か?」
直角に折り曲がる通路の角、少女を取り囲むようにたくさん小さな袋が散らばっていた。
無重力という空間に翻弄されつつも、少女はそれをひとつひとつ捕らえては紙袋へと放り込む。
「ほら」
青年は少女の死角にあった最後の一個をその形が歪まないようやわらかく捉え、少女の眼前に差し出してやった。
「ありがとう、ロックオン」
少女はそれを嬉しそうな微笑みを浮かべて受け取り、白の紙袋の中の一員とした。
同じような形と大きさの袋の中、目立つのは明らかに異質なオレンジ色の小箱。 白のリボンのかけられたその包装紙と今日の日付をもって、ロックオンは彼女の持ち物の正体を看破した。
「チョコレートか?」
「あ…うん。こんなときだけど…」
「こんなときだからこそより嬉しいんだよ。…クルーに配るんだろ?」
「うん…でも、なんか恥ずかしくて…」
少女は気恥ずかしげに視線を紙袋の方に持っていく。
段は明るく戯れに抱きついてきたりもする少女なのだが、こういうイベントに乗っかるのはすこぶる苦手らしい。
ロックオンは、少女の一見大胆ともとれる行動を、勢いだけに後押しされたとても短絡的なものだと見ていた。
しかしこういったイベント事となると、準備や簡単な覚悟のようなものが必要となり、勢いだけでは保たなくなってしまうのだ。
日頃細切れに発揮される大胆さに覆われた少女の人一倍多い羞恥心と、希薄な自信。 彼はそれを比較的早期に見抜いていた。 そうして、まごつく彼女の背中をこっそりと押してきたのだ。
それは最初、例えるならば妹を見守る兄としての気持ちに似ていた。
(でも今は、違うんだよな。…子供じゃないんだ、自分のことぐらいわかる)
「そうか。…けど、今日中に配らないと意味ないもんな。」
「そうなの。クリスとフェルトはブリッジだし…」
「終わってからじゃ駄目なのか?」
「…入れ替わりで私が入るの」
「ああ…」
なんとも皮肉な割り振りに、彼女はヴェーダを多少恨んだことだろう。 こんなことヴェーダ傾倒のティエリアに知られたらいわゆる「万死に値する!」ことなのであろうが、 ロックオン自身たまにヴェーダの人員割り振りに不満を感じることもあるのでなんともいえない。 (俺が主に地上にいるのには宇宙にばっかりいるんだよ、な)
「そうだな、そいつがただのチョコになる前に俺が一肌脱いでやろうか。」
「…脱ぐの?」
「馬鹿、協力してやる、って意味だよ。俺が見守ってれば安心だろ?」
「見守る…安心…、うん!!ありがとうロックオン!」
一旦赤らめた頬の色を薄めて、青年の言葉を噛み砕くように繰り返した少女は、ロックオンに前払いの礼を言うとほっとしたように目を細めた。 (本当にかわいい奴だよ、お前は。)
背後にロックオンを従えた少女は手始めに艦橋へと向かった。 あそこには確実にクルーが数名待機しているし、うまく行けば5個人の部屋をいちいち回らなくて済む。
後者の打算を少女が思い付けるのかは微妙だが、前者の意見がすでに少女自身の口から出たものであるのは確かだ。
艦橋に着いてみればロックオンの予想通り、ブリッジクルーはまだ全員ブリッジにいた。
メインクルーともいえる彼らはこのほんの少し前の時間、ここで打ち合わせをしており、
ロックオンもそれにマイスター代表的な役割をもって参加していたのだ。
「?交代の時間にはまだ早いんじゃない?」
「…ロックオン」
扉を開けてすぐにに気づいたのが扉の近くにいたスメラギで、彼女の声にフェルトも小さく声を上げた。 クリスティナはといえば端末に向かって作業中だ。 なかなか一段落できず、少女を構えないことに対してだろうか。 彼女はどことなく不満げにも見える横顔をしている。
はふわっとスメラギの元へ行き、紙袋から白の小さな袋を取り出してスメラギに渡した。
「あら、嬉しいわ。」
バレンタインね、と続けたスメラギの声に、リヒテンダールが嬉々として少女の方を見た。
それだけのことが今のロックオンにとっては、なぜか面白くなかった。
「くれるんだ、!」
リヒテンダールの声にはほっとしたようにそちらへ床を蹴っていった。 彼の言葉はタイミング良く彼女に機会を与え、機会さえ与えられれば彼女は彼女らしく動くことができる。
「うん、義理チョコだけどね。ラッセにも。」
彼女の手から離れたチョコはそれぞれに2人のほうに流れていき、彼らの手におちた。
そのまま作業を中断できたクリスティナやフェルトにもチョコを流すの姿を見ていたロックオンは、にやにやと悪戯な笑顔を湛えてこちらを見るスメラギに気付いたものの、そこはあえて気付かないフリをした。 おそらく彼が気付かないフリをしていることもスメラギは察知した上で、やはりあえて青年に声をかけたりはしなかった。
「ロック、止めてー」
ブリッジクルーにチョコを配り終えた少女がふわりと扉の方へ戻ってくる。
「ではみなさん、勤務中失礼しました。交代まで頑張って」
差し出された青年の二の腕に掴まり、勢いを殺した少女はくるりと回転してクルーたちに挨拶をした。 そして扉の方は見ないままに青年が開けた扉を通り、青年共々扉の向こうへと消えていった。
「…彼、ああしてついて回る気なのかしらね」
「過保護ですからね〜。心配なんすよ、きっと」
「…虫、付かないように。」
「あ〜、私もあんな風に想われたいっ」
ブリッジクルーの思い思いの言葉は、金属の扉に遮断されて当人たちの元へ届くことはなかった。
「次はどこに行くんだ?」
「整備士さんたちの休憩所…にはもうまとめておいてきたから、エクシアのコンテナかな。今イアンさんが整備してるらしいし、整備士さんたちの代表だから直接渡しておきたいの。」
「おやっさんね、了解。」
2人がエクシアのコンテナに入ると、開いたままのエクシアのコックピットと、コックピットを覗き込む刹那の姿があった。 少女はロックオンをちらりと振り返り、その存在を確認してから声を上げる。
「刹那!…そこにイアンさんもいる!?」
無表情で顔だけくるりと振り向いた刹那と、コックピットから頭をつきだしたイアンの視線が少女へと向けられる。
「おう!じゃねぇか!どうした!」
「二人とも、少し時間いただけますか?」
「俺は良いが…」
「構わない」
イアンが刹那の様子を伺うが早いか、刹那は口を開く。
その言葉に青年と少女とは壁を蹴ってエクシアへと向かっていった。
「バレンタインのチョコレートです。」
ぽんぽんと胸元に押しつけた小さな袋を見つめる刹那と、礼を言って少女の頭をかきまわすイアン。
顔を上げた刹那と少女の視線が合うと、少女はにっこり微笑んだ。
「今日はバレンタインデーって言ってね。お世話になってるひとにチョコを渡す日なの!」
「…そうか。」
少女の説明に、青年も付け加える。
「刹那。貰ったら、ホワイトデー…3月14日にちゃんとお返しするんだぞ?」
「何をだ。」
「何ってお前…クッキーとか、キャンディとか…ま、小物でも良いが、普通はお菓子だな。」
「…了解した。」
刹那の言葉に青年と少女とは微笑み合い、エクシアに手を突いて体を押し出した。 微重力の空間になっているコンテナ内で2人の体はふわりとエクシアから離れ、ゆったりとした放物線を描いて床へと降りていく。
「」
少年のよく通る声が、扉へとただよっていた少女を振り返らせた。
「…ありがとう。」
少女は満面の笑みを浮かべ、機上の少年に向けて大きく手を振った。
は刹那のことをかわいい弟だと思っていて、刹那も少女には拒絶の言葉を吐かない。
少女もそのことには気付いていて、刹那の性質を知った上で好む距離をとっている。 刹那が少女に少なからぬ好意を抱いているのは確かだ。
しかし結局、少女の『箱』は彼には渡らなかった。 (安心したかって?…そりゃ当然だ。)
「…なぁ、袋の中身、聞いても良いか?」
「白いのは既製品の詰め合わせだよ。あんまりお菓子作り得意じゃないから。」
ティエリアあたりに文句付けられたらやってられないし、と付け足し、少女は苦笑した。
はトレミーのクルーの中では最もティエリア・アーデを苦手としている。 そして、ズバズバと正論と毒を繰り出すティエリアにいつ口撃されるかといつも冷や冷やしている。 根が真面目で実力もある彼女はマイスターとして相応しい、というティエリアの見解は伝わってはいないらしい。
間違っても『箱』が彼の手にいくことはないだろう。
ロックオンはそう楽観視し、少女の後を追ってヴェーダのターミナルユニットへと向かった。
少女が何度も促すのに押されてボタンを押したのは、手袋に包まれた青年の指だった。しかし青年はボタンを押した指はそのままに、少女をマイクの前に押しやる。 少女が青年へ抗議の視線を送る前に、モニターに美しくも厳しい表情をしたティエリアの顔が映し出された。
『何だ』
「て、ティエリア…」
『・。何の用だ。』
「渡したいものがあるの。」
『…少し待っていろ。』
ヴェーダにアクセスしている最中のティエリアを、不機嫌にさせずにユニットから呼び出せるのは少女と緊急事態だけ。 もし青年が呼び出せば、彼の眉間の皺はこんなものではないはずだ。
モニターごしの表情と寸分違わぬ愛想のかけらもない表情で、扉を開いたティエリアは客人を出迎えた。
「ロックオン・ストラトスも一緒だったのか。」
「ただの付き添いだよ、俺は。」
開口一番、ティエリアはつり上がった視線を青年へと向けた。
確認というよりは詰問に近い響きを持ったその言葉をいなし、ロックオンは軽く両手を上げた。
「…渡したいものとはなんだ。」
すっと少女へと移動した鋭い…青年に向けられるものよりは柔らかい視線を受け、少女はぎこちなく笑む。
「チョコレートをね。バレンタインだから」
「作ったのか」
「…まさか。下手くそだもん、手作りなんてあげられないよ。」
「…」
黙り込んだティエリアの不機嫌そうな表情は、何から来るものなのか。
それが読み取れてしまった青年は、少女の勘が自分ほど優れていないことを感謝した。 少女は今までどおり、白の袋を取り出してティエリアへと手渡す。
「どうぞ」
「断る理由はない。」
憮然としたまま袋を受け取ったティエリアはきっぱりとした発言を残し、きびきびとした所作で自室の方へと消えていった。 彼の姿が視界から消えたとたん、少女の緊張が解けて姿勢すら緩む。
「下手に美人だから余計緊張するよ…」
「ティエリア相手によく頑張ったよ、お前は。」
ロックオンはそんな少女の頭をぽんぽんと撫でてやる。
少女はその感触に心地良さそうに目をつむる。 そしてゆっくりと息を吐き出した後、ぐっと握りこぶしを作って気合いを入れ直した。
「最後…アレルヤ!」
アレルヤ・ハプティズムは、ロックオンが今回一番警戒している人物だ。マイスターの中でも人当たりがよく、優しい青年。 何よりも、少女とは年が近い。一見しただけでは恐ろしさすら感じる彼の眼光も、柔らかく細められれば逆により優しそうに映る。
人見知りの少女がロックオン以外では唯一、二人で話ができる青年でもある。
ロックオンの持つ紙袋の中には白い袋と『箱』、それに白い袋と同じタイプの茶色の袋がそれぞれひとつずつ残っていた。 青年が危惧しているのは『箱』の色だ。
オレンジ色のその箱は、アレルヤの機体であるキュリオスの色でもあり、彼のパイロットスーツの色でもある。 アレルヤを象徴する色と言っても過言ではない。
しかし少し視点をずらせば、オレンジは自身の相棒とも呼べるロボット『ハロ』の色ともいえる。おそらく、いわゆる『本命』が入っているだろうその『箱』の行方だけが、青年を悩ませていた。
しかしアレルヤの部屋の前まできて、少女は一番の動揺を見せた。
コールをするための指は一寸手前で止まったままで、うーんと唸ってみたり困惑気に青年を見上げてみたり。
「俺を見たってしょうがないだろ?」
「…だけど」
笑いを含めてそう言えば、少女の眉が下がり唇はつんと尖る。
あの唇を啄めたらいいのに、と青年は思った。 啄めたのなら、…きっとそれだけではすまないのは確実だけれども。
「アレルヤとは普通に喋れるじゃないか。…もしかして、?」
「ち、ちがうよ!アレルヤはそんなんじゃないもん!」
「僕がどうかした?」
耳までを真っ赤に染めて説得力のない抗議をする少女。 そのとき突然、彼女が背にした扉が開き、柔らかな声とともに長身の青年が姿を現した。
「ロックオン。どうしたんです、僕の部屋の前で。」
銀の瞳で青年はびくりと体を震わせた少女の後ろ頭よりも、真正面にいたロックオンを見た。 長身の青年たちが視線を交わすと、の頭は自然と視線の圏外になってしまう。
「お前に用があるのはだよ。」
ロックオンが少女の体を反転させながら軽く持ち上げてやると、アレルヤの正面には少女のふくれっ面が配置された。
「ああ!、ごめんね。」
「別にいいですよっ。私は女の子だからそんなに大きくなくたっていいんだもん。」
「だからごめんって。許して?。」
仲良さげに会話を続ける二人の姿にロックオンは少女の足を床に着けさせ、二人の視線が簡単には交わらないようにした。 ちょっとした嫉妬心からの行動にロックオンは自分が大人気ないなと思ったが、2人はそう気にもしていないようだった。
反省したばかりの心にまた、小さな苛立ちが募る。
「そうだ。だから私ね、チョコ渡しに来たの。約束通り作ってきたよ。」
アレルヤも物好きだよね、手作りのがいいだなんて。 そう続けた少女の声は、辛うじてロックオンの耳に届いていた。
少女が紙袋から取り出したのは小さな袋だったが、色は白ではなかった。
「ありがとう、。大事に食べるよ。」
「…売ってるやつの方が美味しいよ、絶対。」
複雑そうな声色で白い袋もちらつかせる少女に、アレルヤは茶色の袋を大事そうに胸に抱いた。
「そうかな。心がこもってるから僕はこっちの方がいいや。」
「…し、知らないっ!行こ、ロックオンっ」
少女はほのかに染めた顔をアレルヤからそらし、ロックオンの腕を掴んで床を蹴った。 一瞬見えたアレルヤの至福の表情が青年の瞳に焼きつけられる。
乙女のように頬を染めるアレルヤの微笑みは、少女への思慕を裏付けるもの。 『箱』の存在に気を取られすぎて、色違いの袋に気を回していなかった。
少女に思いを寄せる者にとっての至宝が、そこには収まっていたというのに。
しかし同時に…ロックオンの持つ紙袋の中にはまだ『箱』が残っていた。
白い袋もひとつ残っているのは気になるが、それを渡すべきプトレマイオスのクルーはもういない。 今まで少女のサポートをしていた青年、ロックオン・ストラトスを除いては。
アレルヤの部屋を少し離れると、そこはもうロックオンの部屋の前だった。 少女は掴んでいた彼の腕を支点に、くるんとロックオンの方を向きなおる。
はにかむような笑顔の少女がそこにいた。
「あの…ロックオン、…手伝ってくれて、ありがとう。ロックオンがいなかったら、もっと大変だったと思う。」
「そりゃどうも。役に立てて良かった」
笑みを浮かべて少女に紙袋を返すと、は紙袋の中に片手を突っ込んだ。
少女の手に掴まれたオレンジの箱がちらりと見えて、青年の思考がさっと華やぐ。 心にたちこめていた靄とともに、彼はもうアレルヤの微笑も気にならなくなっていた。
「お礼、じゃないけど、これ…」
アレルヤのチョコレートは手作りかもしれないが、たかが色違いで。 『箱』が箱であることはそれ以上の意味を持つように思えた。
ロックオンは自然にこみあがってくるにやついた笑みを抑え、心の底で望みに望んだそれをついに受け取った。
「ハロたちに。チョコじゃないけど、…新しいチップなの。」
「…な」
思わず間抜けな音が口から零れた。
青年が欲していた特別は、ハロのものだった。
「これでハロの語彙とかももっと増えると思うよ。…ロック?」
「あ、ああ。ハロも喜ぶだろ。」
ロックオンは混乱した思考をすっと立て直し、作った笑顔を貼り付けた。
つまり彼の取り分は他の多くのクルーと同じ、白。 アレルヤの優位はもう一度、青年へと突きつけられた。
「…じゃあ、紙袋ごと引き取るな。」
ロックオンがなんでもないような態度を繕って紙袋へと手を伸ばした。 少女はその手を避けるように紙袋を引き、首を横に振る。 「ち、ちがうの、これはロックオンのじゃない」 少女はまた頬を染め、慌てたようにまくしたてた。
けれどそれは紙袋に残った最後のひとつ、貰っていないと駄々をこねるような真似をするつもりはないが、青年の瞳は一瞬の激情を宿した。
失望にも似たそれは青年を蝕み、苛む。
「ああ、そうかよ」
思ったよりもずっと低く、冷たい声が出てしまったことに青年は少し焦る。 少女はびくりと怯え、口をつぐんでしまった。 目元からはぽろっと涙さえ零れ落ちる。
(馬鹿、怯えさせてどうする。)
「なんてな。ごめんごめん、そんなに怖かったか?」
ロックオンはへらりとした笑顔を作り直して言った。 大人気も、余裕もなさすぎる。 自分らしくないのは自分で承知していることだ。
じゃあなと言って、部屋に戻るつもりだった。 一人になって、この激情を消化するために。
しかし、青年の腰に頼りなさげな2本の腕が絡みつき、引き止める。
「違うっ!、ロックオン…のはこれじゃない、だけ。」
嗚咽を挟みながらの少女の弁明を、青年は突き放せなかった。
背中に密着する少女の体温、離すまいときゅっと力のこめられた腕が、小さく震えていた。
「私、ロックオンが好きだから」
青年の理解が追い付かないうちに、少女は次々に言葉を紡ぐ。
「絶対、渡せないと思って…ロックの部屋に…。だからこれは、…ロックオンのじゃないの!」
予備!と叫んで少女が離そうとする腕の片方を青年は難なく捕らえた。 少女の腕を引き、抱き寄せるように接近させる。
「…本当か?」
低く囁くように確認すると、少女は耳まで真っ赤にしてコクコクと激しく頷いた。
たまに言葉足らずになる彼女。
彼女の意思を汲み取ってやる余裕すらなくなっていた自分に、青年は呆れ果てた。
廊下では人目につきすぎると少女を部屋に引き込む。
戦闘後、動揺するを慰める時のように腕に閉じ込めて、謝罪する。少女が泣き止むまで。
しばらくして落ち着いた少女をベッドに座らせると、少女は無言でロックオンの横を指差した。
青年の隣、テーブルの上には深緑の箱がひとつ。
開いてみれば、シンプルなチョコレートケーキがひとりぶん。
そしてはうつむきかげんのまま、ぽつりと呟いた。
「…一番うまくできたやつなんだよ、それでも…」
少し歪な形をしたそれはまさに、青年にとっては世界一のパティシエのスイーツにも勝るもの。
余裕すら失っても願った、少女の手作りのケーキだった。
「ありがとうな、。」
泣かせてしまった謝罪の意も込めて、ロックオンはそっとの額に口づけを落とした。
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ロックオンと神様的客観視点でみるとロックオンのセクシーさが鳴りを潜めて私涙目。
もっとせくしーな兄貴をかきたい。
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