雰囲気の良い上品なレストラン、いつもの数段格好良く見える正装した彼。
ドレスにミュールに小さなバッグ。
お姫様のように導かれるセットされた純白クロスのテーブル。
それら全てが、なにもかも、慣れないことばかりで。
それでも、いつもどおり。
強張り気味だった私の表情を緩めてくれたのは、やっぱり彼の微笑みだった。
綺麗に飾られたデザートを四苦八苦しながらも食べ終える。
飲めるようになったばかりのワインに顔をしかめる私に、苦笑する彼。
ことり、とグラスを置いて視線を上げれば、ふ、とロックオンの笑顔は消えた。
美しい碧の瞳が一対、私を射抜く。まるでまるで、私が狙撃の標的であるかのように。
燕尾服の胸元に手を突っ込んで、ビロードの小箱を取り出して、彼の両手がかぱりとそれを開く。きらきらと輝くエメラルドが小さな輪を伴って、彼の白く長い指に掬われていった。
「。」
不安交じりの眼差しが彼らしくなくて、これが只のプレゼントの一つではないのだと知った。
おそるおそる手を差し出す私に、ロックオンは安心したように微笑んでその手を取る。
右手で摘んだそれを、もう私の指に馴染んだ恋人の象徴に重ねて嵌めて。
震えているのはどちらの手なのだろう。
擦れ合う金属音、揺らめくキャンドル。
左手の薬指に2つの指輪が、まるで夢のようにそこにはあった。
eines, am ersten Heiratsantrag.
(その1、まずは求婚から)
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