どうしてもどうしても無理なんだごめんな、
そう言ったロックオンに私は一人でも大丈夫だと答えたはずなのに、
彼は心配だからと言って共通の友人であるアレルヤを呼んでおいてくれた。
今日は私のドレスを選ぶだけの日。
それに付き合うためだけに呼び出されたはずなのに、アレルヤはどことなく上機嫌な様子で私の隣を歩く。
「ご兄弟ですか?」
ロックオンの顔を知っている店員の微笑。
アレルヤは困ったように眉を下げて、ええそんなものです、と答える。
案内されたウェディングドレスのたくさんある部屋で、気になったものや店員が持って来るものを次々に試着していく。
椅子に座って待っていてくれるアレルヤ。
その前で、くるり、と裾を翻し、感想を尋ねた。
「ああ、とっても綺麗だ。
…うん、そうだねハレルヤ。…僕はこういうの、向いてないよ。」
全部綺麗だと思っちゃうんだ。
そう言ったあと、ティエリアの方が適任だったかもね、という彼の言葉はきっちり否定しておいた。
アレルヤと真逆の反応を返す彼の姿など、容易に想像できる。
結局は自分で、その代わりたっぷりと時間をかけて『ひとつ』を選び抜く。
まるで部屋中のドレスを着尽くしてしまった気分。
これはどうでしょう、と亜麻色の髪の店員が差し出したドレスに袖を通す。
まるで私の為に誂えたかのような、ぴったりと好みに合うそれが嬉しくて、思わず浮かんだ笑みをそのままにアレルヤを振り返る。
この素晴らしいドレスとめぐり合わせてくれた若い店員も、嬉しそうにアレルヤの方へ体を向けた。
「お綺麗ですね、」
「…ええ、とっても。」
アレルヤの言葉に満足したように頷くと、見慣れない若い店員は奥のほうからポラロイドカメラを持ってきた。
ご確認用として一枚、サービスとなっております。
ぱちりとカメラから吐き出された写真には、花嫁が一人。
「もう一枚、いかがですか。」
アレルヤを招き呼びながら店員は、悪戯っ子のようにそう言った。
本番の時に撮るプロの作品もいいけれど、こういうのも素敵なものですよ、と。
まるで彼が私の未来の花婿であるかのように。
「…ぜひ、お願いします」
私が対応するより早く、アレルヤがすっと席を立った。
彼は多少あっけにとられた私の隣に控えめに並ぶと、店員が恍惚をこめたためいきを吐き出す。
やっぱり、絵になるわ、だなんて敬語も忘れたかのように呟いて、彼女はファインダーを覗き込んだ。
「これ、僕が貰っても良いかな?」
2人が映る写真を手に、アレルヤは言う。
この衣装で、一番に一緒に写真を撮ったのがロックオンではないと知ったら、彼は怒るだろうか?きっと苦笑して、やられたな、なんて言うのだろうけれど、きっと良い思いはしない筈、で。
断る理由もなく承諾すると、私の手元には私だけが映る一枚の写真が残った。
「ほんと、綺麗だな。
、ちょっと早いけど、でも、本当におめでとう。」
嬉しそうに、嬉しそうに写真を見つめるアレルヤに、私は、今更気づいて。
ありがとう。そう答えたときに一瞬見えた切なげな表情の意味も、ようやく。
ありがとう、ごめんなさい、…これからも、良き友人として。
zwei, danach Vorbereitung.
(その2、次は下準備を)
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