(…どうしよう)


だんだんぬくもりが冷めてゆく布団にくるまって、私はひたすら思案した。

暁の気配すら見せない深い闇。
響く音はやけに大きな時の音と、自身の脈動。
そして、愛する人の穏やかな寝息。

夢見がいいのか、ふにゃり、笑みさえ口元に浮かべて。

(私も、ニールみたいな夢を見てたかったな)

それはつまり、願望。

さっきの夢を忘れるには印象が強すぎて。

良い夢は優しい気持ちだけ残してするりと内容は抜けてゆくのに、
悪夢はこわい、こわいと何度も反復するうちに記憶にこびりついてくるものだ。

記憶にも経験にもないような感触がやけにリアルに思い出される。
小説や映像なんて目じゃないくらいの臨場感が、こういう時はとても恨めしい。

もちろん、ニールに抱きしめられたりするような夢なら大歓迎なのだが。


(…こわかった、……こわい…)


すぐそばの、安心の源と言っても良い人物に頼ればいい。
それはわかっているのだが、あんまりにも幸せそうに眠っているので気が引ける。


…悪夢を見ているのがあなただったら、私のことすぐにたたき起こしてくれてかまわないのに。


私はできない、あなたの眠りを妨げるなんてことは。
あなたが身じろいでこぼれかかる前髪も今は、恐怖に抑え込まれて見とれてなんかいられない。

それでも、ひとつだけ救いなのは、
悪夢を見ているのが彼じゃないということ。
彼はもう、悪夢だなんて腐るほど経験してきていて、
だからもう、悪夢だなんて見てほしくないし、私の悪夢を少しでも、分かち合わせたくない。
幸せに眠っていて、ほしい。


夜の静寂はまだまだ続くし、私の密かな戦いもひたすら続く。太陽はまだ昇らない。




無垢なこどもだったら、心のままに泣きつけるのに。
もっとおとなだったら、闇を恐れることなんてないのに。

まっくらなはずの闇の中、闇の奔流は流れ出す。
ぐるぐる巻いて、ところどころに淀みを湛える。





不意に彼は私の名前を呼んだ。

起こしてしまった、びくりと身をひきつらせる。

彼の腕がぼすっと、ぞんざいに体の上にのしかかってきた。
ふぅ、と長い吐息をこぼして、再び聞こえてくる柔らかな寝息。


「ニー…ル…?」

呼びかけても返事はなくて、身じろぐ彼に自然と引き寄せられる。
彼に向けた背中が、とてもあたたかい。

彼は、夢の中にいるときでさえ私を安心させてくれる。
なんて面倒見がいいんだろう、なんて、気持ちまであったかくなって。
だって、こんなこと今は私たちの間でしか起こらない。

怖い夢の予防にはならなかったけど、こうしてケアしてくれるなら、
たまには、怖い夢を見るのもいいのかもしれない。

安心感に目を瞑って、私はそのまま意識を落としていった。







眠りから覚めた貴方は、



(幸せな(わたしの)夢を見たのだといって、いつものように微笑んだ)











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添い寝していただきたいものだな、ガンダム!






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